CD番号 HERB-018
Cunaのデビューアルバム【花一輪一輪】
金子みすゞの詩にCunaのオリジナル曲をのせて新たな世界を奏でます!
~どこまでも碧い空に響く声 透明なピアノの音色~
【花一輪一輪】~収録曲~
1. 雪に 2. 積った雪 3. 土~土と草 4. もういいの (朗読 ) 5. みんなを好きに 6. 露~露 7. こだまでせうか
8. 井戸ばたで9. 二つの草 10. 大漁 11. 木 12. 雪13. 花一輪一輪 (朗読) 14. 花一輪一輪
Track 01.-12. 金子 みすゞ 詩 + 甫木本 志津 作曲 Track 13.-14. 田中 暢 詩 + 甫木本 志津 作曲
2013年12月25日発売 定価 2,000円(税別)
金子みすゞの詩にCunaのオリジナル曲をのせて新たな世界を奏でます!
~どこまでも碧い空に響く声 透明なピアノの音色~
レコード芸術 2014年4月号 新譜月評 / 声楽曲
Cuna:花一輪一輪 ハーブクラシックスHERB-018
喜多尾 道冬
演奏団体Cuna(ゆりかごという意味のスペイン語)は高知県の高校を卒業した同級生によって結成され、ソプラノ、メゾ・ソプラノ、ピアノの3人からなる。このCDは自分たちで金子みすゞの詩に付曲した作品からなり、トリのみは田中暢による詩「花一輪一輪」への付曲によって締めくくられる。この詩自体は田中暢によってCunaのために作詞されたということだが、このCDは氏が余命いくばくもないと知って制作されたとのこと。CDには金子みすゞと田中暢の詩が掲載されているだけでライナー・ノーツらしきものはない。ネットで調べると田中暢は市民ミュージカルの舞台演出家で《憲法ミュージカル》や《I LOVE 憲法》などを手がけているらしい。そういうわけで金子みすゞと田中暢という変わった取り合わせになっている。
金子みすゞへの付曲は朗読やメロドラマ(ピアノ伴奏つき朗読)、ソプラノ&メゾ・ソプラノの重唱を含み、曲自体は童謡風、ニューミュージック風ながら、女性らしい可愛らしさ、素直さ、無邪気さを旨とし、ピアノはシンプルでありクリア、金子みすゞの純な心を映し出そうとしている。そのなかで《大漁》は「鰯のとむらひ」のイメージに合わせてだろうピアノ後奏はレクイエムのようにひびく。またトリの田中暢の詩による《花一輪一輪》は宗教的な賛歌となっている。全体にメッセージ性は強いものの押しつけがましさはなく、素直に耳に入ってくるのが好ましい。
堀内 修
金子みすゞの詩による歌が、ソプラノとメゾ・ソプラノ、2人の歌手によって歌われている。朗読もふたつ。
作者について歌手について、最小限の解説しか付されていないが、いまは「ストーリー」より内容で勝負ということなのだろう。ここでも最小限の情報を記しておこう。Cunaは、歌とピアノ、3人の女性グループで、そのひとり甫木元志津が曲を付けている。CDの終わりに読まれ、歌われている、田中暢の詞「花一輪一輪」が全体のタイトルになっている。
その《花一輪一輪》を除く11曲の詞は金子みすゞで、東日本大震災の折に広く知られるようになった《こだまでせうか》も入っている。最初に《雪に》から《雪》まで、11編の詞が歌われ、「もういいいの」という詞が朗読されている。
歌っている2人、鬼束良枝と作曲も手がけた甫木元志津、そしてピアノの早野玲子が目指している方向はきちんと定まっている。それは確かに金子みすゞの詩とひとつになっていて、間然とするところがない。歌う言葉ははっきりと聴きとれる。とても単純化されていて、聴きとりやすいだけではなく、歌いやすいのではないだろうか。
一種の童謡と見るべきなのだろう。子供か、あるいは子供のような心、感性、知性を備えた人たちは、きっと共感できるところを見い出せるはずだ。
録音評 / 石田 善之 90点 レコード芸術 2014年4月号 P.1