CD番号 HERB-019
【CON ANIMA】〜魂をそえて〜
水谷川 優子 (チェロ) & 小柳 美奈子 (ピアノ)
J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲 第1番BWV.1007
A.G.ルビンシテイン:ヘ調のメロディOp.3-1(D.ポッパー編)
D.ポッパー:ハンガリー狂詩曲 Op.68
黛 敏郎:BUNRAKU
G.ガーシュウィン:アイ・ガット・リズム(挟間美帆編)&サマータイム(挟間美帆編)
A.K.グラズノフ: 吟遊詩人の歌Op.71
M.P.ムソルグスキー: 涙(L.クリーク編)
M.ブルッフ:コル・ニドライOp.47
2013年7月23日~25日 / 秩父ミューズパーク《音楽堂》でのセッション録音
2014年2月発売 定価 3,000円(税別)
【CON ANIMA】〜魂をそえて〜
豪快にして繊細、上品な温もりに満ちたチェロの調べが、
作品の核心に迫りながら、聴き手の魂も深く揺さぶる。
水谷川 優子 (チェロ) & 小柳 美奈子 (ピアノ)
レコード芸術 2014年4月号 新譜月評 / 器楽曲
CON ANIMA ~ 魂をそえて
水谷川 優子(vc) & 小柳 美奈子(p) ハーブクラシックス HERB-019
推薦 / 濱田滋郎
かつて聴いた実演、あるいはレコーディングを通じ、水谷川優子というチェリストに私の抱いていた印象は、優美だが、おとなしい演奏をする人、といったものであった。しかし、かなり久方振りに現われたこの新譜を聴くと、そうした印象には修正が必要のようである。あるいは、かつての私が一画的な聴き方をしていたのかもしれないが、演奏家としての成熟と共に、彼女に変化が生じたのも確かではあるまいか。当盤は「小品集」のようでありながら、冒頭にはJ.S.バッハの《無伴奏チェロ組曲》第1番ト長調が、全曲弾かれている。
それを聴きながら気付くのは、演奏にたいへん自発的な、生き生きとした表情づけが盛られていること。全6曲中1曲のみとは言え、チェリストの「聖典」を相手どって、このような自在性、奏者の内なる動きを気後れなく表現できるとは、天晴れである。以下にはA.ルビンシテイン、ポッパー、黛敏郎、ガーシュウィンなどと続くが、中で出色なのは、黛が無伴奏チェロのために書いた傑作、《BUNRAKU》。これは水谷川優子が少女の頃から愛奏してきた、“共に歩んできた相棒”のような作品だという(ブックレット内に自ら記す解題による)が、さすが、彼女の骨肉と化ったかのような弾きぶりが聴かれる。ガーシュウィンの2曲は、ジャズ・ピアニストである狭間美帆のアレンジだが、これも十分に聴かせるレパートリー。ムソルグスキーの《涙》(L.クリーク編)もよい。小柳美奈子のピアノも随所に冴える。
レコード芸術 2014年4月号 P.116
優秀録音 録音評 / 峰尾 昌男
CON ANIMA ~ 魂をそえて
水谷川 優子(vc)
今月よい録音と感じたのは他につい先ごろ他界したアバドが指揮しアルゲリッチがピアノを弾いているモーツァルトのピアノ協奏曲、それにリストのピアノ三重奏曲であった。モーツァルトのピアノ協奏曲は、オーケストラ、ピアノともとてもしなやかな音色でかつ存在感もあり、音楽にぴったりより沿っていた。リストのトリオは各楽器が極めて明瞭でかつほどよくとけたっている気持ちのよい録音だった。
最終的に優秀録音とした水谷川優子のチェロによる表記のアルバムは、響きのよいホールで録音し、その特徴を活かしながら一方でそれに過剰に寄りかからず、楽器本来の音をきれいに聞かせている。したがって響かせすぎると膨らんでしまうチェロの音像もほどよい大きさで中央に定位、実体感が見事である。また、ピアノはほんのわずか奥に奥行き感を持って定位し、これもクリアでありながら音楽的バランスもとれている。無理のない音作りでこれみよがしなところがない録音である。
レコード芸術 2014年4月号 P.139